高性能な大型電気自動車には、高性能なバッテリー熱管理装置が必要

高性能な大型電気自動車には、高性能なバッテリー熱管理装置が必要

自動車業界では電動車両への移行が進んでいますが、それは小型車に限ったものではありません。産業用の大型車両でもこの技術の採用が進んでおり、バッテリーの熱管理システムへの要求も高まっています。そのため、過剰な熱を放散し、熱暴走を防ぐために、バッテリーパックにクイック・コネクター付きの優れた設計の液冷ソリューションを導入することが不可欠です。    

小型電気自動車の分野において、世界的なブレークスルーを達成するための主な課題は、インフラと公共の急速充電器の普及です。急速充電を行うと電力が増加し、温度も上昇します。充電時間を短縮し、温度上昇に対応するためには、過剰な熱を放散し、熱暴走を防ぐための効率的な熱管理システムが必要です。

一方、バスやトラック、船舶、建設機械などの大型産業用電気自動車の場合、急速充電インフラの整備という課題は自家用車と同じですが、若干異なります。大型電気自動車は出力が大きい分、発熱量も多く、液冷の必要性も高くなります。

 

大きな出力効果には優れた設計のBTMSが必要

大型電気自動車の充電ステーションで難しいのは、温度を制限された範囲で一定に保つことだけではなく、大電力の出力や入力があった場合に、車両内のバッテリーパックを熱暴走させずに維持することです。温度上昇を監視・制御するために、バッテリーパックの上にバッテリー熱管理システム(BTMS)を設置し、過剰な熱を逃がす方法がよく用いられます。

しかし、気候によっては、バッテリーパックを温めないと充電ができない場合もあります。いずれにしても、冷却や加熱が必要な場合には、制御されたBTMSが重要となります。

BTMSが制限された範囲の温度を維持できないと、熱暴走、バッテリー性能の低下、システムの故障が発生し、メンテナンス作業や修理に費用がかかり、最悪の場合は人身事故にもつながります。

 

クイックカップリングはBTMSソリューションの一部

可能な限り効率的で安全なBTMSを実現するには、クイック・コネクトカップリングが必要です。バルブの無い標準的な継手と比較して、漏れのないクイック・カップリングはパフォーマンスを向上させ、限られた狭いスペースでの設置、修理、メンテナンス作業を、より安全で容易に行うことができます。また、クイック・カップリングを使用すれば、作業者は事前充填システムを使用することができます。標準的な継手(バルブなし)を使用すると、バッテリーパックの保守コストがかかる可能性が高くなります。

 

「適切な」クイック・コネクトソリューションの選択は、クイック・カップリングを使用する場合と同様に重要です。カップリングの材質は、システム内の冷却液の種類に適していること、漏れがなく、バッテリーパックの高出力性能と寿命を確保するために、低圧力損失を維持することが必要です。

 

フローテストと材質の適合性 

セインは単にクイック・カップリングを提供するだけでなく、それを用いたソリューションを提供しています。例えば、液体冷却システム、コールドプレート、バッテリーパックなど、システムの様々な部分の流量をテストしたり、材料の材質の適合性に関するテストを実施することができます。これらはすべて、バッテリーパックを設計する際に考慮すべき重要なポイントです。

 

 

執筆者:

Mats Ahnheim
フルード製品 マネージャー


 

 

バッテリーパックの熱管理システムに組込むクイック・コネクトカップリングを選ぶ際の3つのポイント:

  1. 液だれが起こらないようリークテストされたカップリングであること
  2. 大流量かつ圧力損失の低いカップリングであること
  3. 腐食やシール不良等の長期的な材質の適合性による問題を回避するために、適切な材料材質を選択しているカップリングであること

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