クイック・コネクトカップリングの材質: プラスチックと金属の比較

クイック・コネクトカップリングの材質: プラスチックと金属の比較

最適なクイック・コネクトカップリング(迅速流体継手)を正しく選択するために、材質は選択プロセスの一部に過ぎません。クイックカプラーの性能、継手が使用されるアプリケーション、また材質も考慮しなければなりません。迅速流体継手の組み付けや修理を検討する際には、これらすべての品質が等しく重要です。

クイック・カップリングの材質

油圧用クイックコネクツ、流体用クイックコネクト、空気圧用クイックディスコネクトなどと呼ばれる製品、およびその他のパイプ、チューブ、オス金具、メス金具、スペーサー、フランジ、ガスケットの製造に使用される材料には、以下のものがあります: ステンレス鋼、アルミニウム、炭素鋼、真鍮、銅、鉄、ニトリル、フルオロカーボン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE、PVDF、PFA、FEP、PVC(ポリビニル)、CPVC、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PEEK、PEK、ナイロン、ビニール、PCTFE、UHMW。

クイック・カップリングの設計

多数のクイック・カップリングの材質があるとともに、迅速流体継手のスタイルや設計も多数あります。各クイック・カップリングの設計は、油圧、油、流体、またはガスシステムに安全性と性能上の利点を提供するため異なる働きをします。最も多く使用されているクイックカプラーの設計には、ボールロックカップリング、ローラーロックカップリング、ピンロックカップリング、フラットフェイスカップリング(液だれや漏れを制限するのに理想的)、バイヨネットカップリング、ケグ ボールロックカップリング、リングロックカップリング、カムロックカップリングなどがあります。また、より一般的/汎用的な用語で、片路開閉カップリング、プッシュコネクト継手、ポペットカップリング、クイックリリースカップリングなどが使用される場合もあります。  

最適な材質の決定

プラスチック製と金属製どちらのクイックカプラーがシステムに最適な材質かを判断するには、まずクイック・コネクトカップリングの仕様と定格を理解することが重要です。これらの定格および制限事項を、油圧、流体、または空圧システムのパラメータと比較します。これには、温度、圧力、流量、体積、圧力サージ、および推定接続/取り外しサイクルの範囲と制限が含まれます。また、クイックカップリングのスタイル/設計を理解することも重要であり、あなたのシステムに最適な安全性と効率を提供するには、特定の設計がなぜ最良の選択肢であるかも理解しなければなりません。通常、カップリングやバルブ設計の交換がOEM企業によって推奨されます。しかし、技術が変化するにつれ、我々はより高い圧力、より高いシステム温度、そして新しく革新的な流体やガスを目にするようになります。従って、油圧、流体、または圧縮空気の用途において、現行のクイック・コネクトカップリングが依然として最適である理由を理解することが重要であると考えられます。

アプリケーション特有の要件

システムの流量、圧力、定格温度をクイックカプラーの仕様に合わせたら、そのカップリングが使用されるアプリケーションを詳しく調べる必要があります。これにより、どのような金属および/またはプラスチックを考慮すべきかについての詳細情報が得られます。以下は、空気、ガス、化学薬品、液体、油、水を継手を通して安全に移送/供給するために、特定の設計と材質を必要とする用途の例です。

-        化学薬品用途のクイック・カップリング ― 化学薬品向けのクイックカプラーは、燃料、油、溶剤、酸、強塩基などの潜在的な腐食性物質への耐性が必要です。化学薬品を使用する場合は、システムで使用する液体、オイル、ガスと、クイックカプラーのプラスチックや金属との化学物質適合性を常に確認してください。

-        ガス用クイック・カップリング ― ガス用クイックカプラーの完全性は非常に重要です。可燃性ガスを取り扱うシステムでは、クイックカプラー間の金具やシールは、ガスが継手から漏れないように、最も厳しい公差に従わなければなりません。プロパン用クイック・コネクトカップリング、および天然ガス用カップリングは、最高レベルの安全基準と品質基準で製造されなければなりません。クイックカップリングのガス漏れを防ぐため、高品質の材料とシールを使用し、使用者と周囲の人々の安全を確保します。

-        油圧用クイック・カップリング ― 高品質の油圧クイックカプラーは、油圧システムの他の部分の流量と圧力要求に適合しながら、システムのメンテナンスと機械の修理を容易にします。圧力定格(油圧用継手は通常、高い圧力定格を満たす必要がある)、および流量に注意し、カップリングがシステムの要求を安全に処理できることを確認してください。また、作動油の粘度、システムの温度、および機械が作動する環境の温度も考慮してください。非常に高圧の油圧アセンブリーに耐えうる十分な強度を持つクイックカップリングを選ぶ際、多くの場合、強靭な金属製クイックカプラーが最良の選択肢となります。(参考文献:ISO DIS 13031-土木機械-クイックカプラー -安全性、およびBS ISO 5675-農業用トラクターおよび機械-汎用クイックアクション油圧カプラー)

-        空気圧用クイック・カップリング ― 圧縮エア用継手にとって流量は最も重要です。これらは、空気供給ラインの主力製品であり、圧縮エア供給ラインに組み込まれた他のホースや継手よりも多く使用されます。過酷な工業/製造環境で長持ちする耐久性のある材質を選んでください。

-        食品グレードのクイック・カップリング ― フードグレードのクイックカプラーは、食品、飲料、医療、製薬業界などのアプリケーションのフルード、液体、ガスの衛生的な性質を保持する必要があります。また、クイックカプラーの材質がガスを発生させないこと、あるいは化学物質が直接、またはシステム内の接触、流量、流体、ガス等によって生じる化学反応を通じて持ち込まれないことも重要です。

-        水用クイック・カップリング ― 水用クイック・コネクトカプラーは、飲料水を汚染物質から守る必要があります。通常、他のシステムよりも低圧力で運転され、システム内の水は工業生産、都市用水、および一般消費者に使用される可能性があります。このような理由から、クイック・カップリングには危険性のある化学物質や、工業用機器や製品に損傷を与える可能性のある異物や汚染物質が含まれていない必要があります。

もちろん、上記の市場には多くのサブセットが存在します。これらの小規模なニッチ市場は多数あり、標準のクイックコネクト継手の仕様から大きく外れた要求があります。これらの様々なシステムの要求を満たすために、無数の金属製継手/プラスチック製継手のバリエーションが用意されています。その中には、プラスチックと金属の両方の継手のカテゴリーに分類されるハイブリッドもあります。以下は、クイック・カプラーの構造で最も一般的に使用される金属とプラスチックに関する一般的な洞察です。

 

金属製クイックカップリングの利点

金属製クイックカップリングはプラスチックよりも耐久性が高く、プラスチック製クイックカップリングに比べより高い温度に対応し、高圧および圧力サージに耐えることができます。

アルミニウム – アルミ製クイック・コネクトカップリングは軽量で耐食性に優れています。アルミ製の継手は、一般的に他の金属性クイック・コネクトカップリングよりも手頃な価格ですが、亜鉛、銅、シリコン、マンガン等の他の金属と合金化し強度を高めていない場合、傷や摩耗が起こりやすくなります。

真鍮 – 真鍮製クイック・コネクトカップリング(銅と亜鉛の合金)は、強度が高く、耐久性に優れ、腐食に強く、銅や亜鉛の配管に悪影響を及ぼしません。真鍮は導電性が高く、高温でも耐久性を維持します。これらの特性により、真鍮はクイック・コネクトカップリングの製造で非常に人気のある材料となっています。熱への耐性に加え、他の金属よりも加工しやすいため、メーカーに好まれています。

青銅 – 青銅製クイック・コネクトカップリング(銅と錫の合金)は、真鍮製クイックカップリングよりも硬いですが、脆いです。青銅の継手は非常に防蝕であり、高温油圧システムで耐久性を保ち、塩および塩水環境にも耐えることができます。はんだまたは溶接接続が使用される場合は、ステンレス製クイック・コネクトカップリングよりも青銅(真鍮のような)が好まれます。

鋳鉄 – 鋳鉄は、クイックカップリングメーカーにはあまり普及していません。鋳鉄製は流体トラップ、フランジ、パイプ、ベントチューブ、廃棄物除去などの補完的なシステムコンポーネントで一般的に見つかります。鋳鉄は、研磨屑や固形廃棄物/廃水による磨耗に耐える能力があるため、廃水システムでの使用に有益です。

– 銅製クイックカプラーには優れた耐食性があります。銅はその柔軟性と加工性により、配管用途で好まれています。クイック・コネクトカップリングに使用される場合、銅は加工硬化され、柔らかい状態で使用した場合よりも剛性が増し、摩耗しにくくなります。

スチールと炭素鋼 – スチール製継手や炭素鋼製クイック・コネクトカップリングおよび金具は、非常に硬く弾力性があります(鉄と炭素の混合物からできています)。ステンレス・スチールのクイックカップリングと炭素鋼のクイックカップリングは、真鍮や銅などの柔らかい金属に比べ損傷に強くなります。また、スチール製クイックカップリングは使用温度範囲が広く、より過酷な用途に多用途に使用できます。炭素鋼の継手は、ステンレス・スチール製クイックカップリングよりも腐食しやすくなってます。混合鋼合金の外に、錆や薬品への耐久性のあるカップリングを形成するためにスチールを亜鉛でコーティングする亜鉛メッキスチールのオプションもあります。

ステンレス・スチール – ステンレス鋼製クイックカップリングは、弾力性と耐久性があることから、腐食性化学薬品やその他の腐食性の可能性のある液体、油、ガスにさらされる、あるいはそれらの液体を処理する場合に高い需要があります。あなたが圧力定格、高温機能性と耐食性が最も優れたものを探している場合は、ステンレス鋼のクイックカップリングが良いでしょう。

 

プラスチック製クイックカップリングの利点

プラスチックは低価格の材料であるため、消費者により安価なクイックカプラーという選択肢を提供します。 プラスチック製のクイックカップリングや金具は錆びないので、バルブの開閉ができなくなる可能性が低くなります。また、軽量なので輸送コストも削減できます。

* プラスチック製クイック・コネクトカップリングを取り付ける際は、十分注意してください。バルブや配管を締め付け過ぎると、プラスチック製クイックカプラーのボディ、バルブ、フランジ、及びシールの完全性が損なわれる可能性があります。

 

テフロン(PTFE) PTFEクイックカプラーは耐薬品性があり、滑らかで非粘着性の表面であるため、流量が安定し、流体の蓄積を防ぎます。PTFE製継手は、低摩擦係数と優れた誘電性能を備えています。PTFE継手は化学的に不活性で、化学薬品、腐食性の液体、オイル、飲料水および圧縮ガスに適しています。

PVDF (Kynar, Hylar, KF) (フッ素樹脂) – PVDFコネクター、パイプ配管、および継手は、PTFE(テフロン)、PFA、およびFEPに代わる経済的な選択肢です。Kynar フィッティングと接続オプションは低温液体およびガス用途で使用されます。PVDFはポリプロピレン製フィッティングよりも耐酸性および溶剤への耐性に優れています。PVDF継手は一般的に、様々な化学物質による劣化に対して非常に耐性があり、他のプラスチック継手よりも高温の流体やガスを扱うことができます。

PFA (フルオロポリマー/フッ素樹脂) – PFAフィッティング、カップリング、ホースおよびパイプは危険性の高い化学薬品を扱うために普及しています。ガスのスクラバー、反応器(リアクター)、格納容器、配管の浸食を防ぐための化学タンクのライナーとして使用されています。PFAパイプと継手は、腐食性界面活性剤や化学薬品との長期間の接触に耐えることができます。

PVC(ポリ塩化ビニル) – PVC継手およびカップリングは、化学処理、工業めっき、冷水分配/移送、脱イオン水ライン、化学薬品排水、廃水処理システムでよく使用されます。PVC継手は剛性があり、さまざまな定格圧力があります。

ポリエチレン (PE) – PEは強力な熱可塑性プラスチックです。PEカプラー、クイックカップリング、継手、パイプには優れた電気特性がありますが、高温には耐えられません。PE継手は優れた化学的適合性を備えていますが、応力亀裂が発生しやすいです。PE継手の悩ましいその他の問題は、耐紫外線性とバリア特性の低さです。PE継手は、圧力や温度の変動が発生しないお水移送システムによく使用されます。

ポリプロピレン (PP) – PP(ポリプロピレン)と呼ばれる熱可塑性素材で作られたクイックカプラーは、コールドフロー用途に適したオプションです。PVCと同様の特性を持ちますが、より汎用性が高く耐久性に優れています。PVCとは異なり、紫外線、風化、オゾンによる損傷に強いため、露出した用途にも使用できます。

 

結論:プラスチック製と金属製のクイックカップリング

最適なクイックコネクト・カップリングを正しく選択するためには、材質は選択プロセスの一部に過ぎません。迅速流体継手の性能、使用されるアプリケーション、クイック・コネクトカップリングの材料も考慮する必要があります。カプラーの取り付けや修理を検討する際には、これらすべての品質が同様に重要です。

長期的な投資を心がけましょう。安かろう悪かろうのクイックカプラーを組み込むと、過剰な設備修理、不必要なダウンタイム、工具や機械の性能問題、さらには油圧、流体、空圧部品の寿命が縮まる可能性があります。

では、プラスチック製と金属製の迅速流体継手のどちらが優れているのでしょうか?答えは「場合による」です。一般に、高温および高圧システムの要求にの対応する場合、金属製のクイック・コネクトカップリングの方がプラスチック製のものよりも優れています。 プラスチック製の継手は、低温および低圧の用途でもんだしなく使用できます。耐久性に優れたプラスチック製カプラーと金具は入手可能ですが、ほとんどの用途においてコストが制限要因となります。プラスチック製クイックカプラーは通常、故障が損害よりも不便であるような、重要性の低い用途に最も適しています。常に安全を第一に考えてください。

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