風力タービンの保守コストを下げIGBTの故障を防ぐクイック・コネクト カップリング

風力タービンのパワーエレクトロニクスにおけるコンバーターは重要な部品です。MDPIの記事によると、最も頻繁に故障する部品の一つであることが示されています (出展: MDPI) 。最も一般的な原因は熱をうまく放散できないことによるもので、その結果機械が停止し収益の損失や高額なメンテナンス費用が発生します。クイック・カップリングを用いた効果的な熱管理により、このような故障を低減し、IGBTの寿命を延ばすことができます。
パワーエレクトロニクスが急速に発展するに連れて、より効果的で近代的な放熱方法が必要とされています。残念なことに、効果的な放熱の失敗は、システムの効率を低下させたり、最悪の場合システムの故障に繋がる一般的な問題です。
パワーエレクトロニクスにおけるコンバーターの重要な部分はトランジスター、すなわちIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)です。大量の熱を発するため、しばしば熱管理に液冷システムが必要となります。以下に、コンバーターのトランジスターを介して電流が変換される時の一連の事象例を示します。
- 風力タービンの発電機で交流電力(AC)を発生。
- 交流(AC)を直流(DC)へ変換、これによりIGBTが熱影響を受けます。
- 直流(DC)は、適切な電圧と周波数で再び交流(AC)に変換され、
- ...電力網(グリッド)へ送電されます。上述同様に、IGBTに熱影響が加わります。効果的な熱放散に失敗すると、IGBTが焼損し、システム障害や停止に至る危険性があります。
冷却不足による高額なIGBTの故障を回避
風力タービンのパワーエレクトロニクスにおけるコンバーターの高熱を効果的に処理できず、熱暴走を起こして耐用年数を縮めたり、最悪の場合モジュールが焼損すれば、高額な苦い教訓を得ることになりかねません。実際、ダウンタイムと収益の損失を除けば、故障したIGBTの修理費用は、特に風力発電機が洋上にあり、船、クレーン、またはヘリコプターが必要となる場合、一日あたり100,000ユーロに達することがあります。従って、不必要で高額な故障を避けるためには、熱管理システムの高品質なコンポーネントに投資することが非常に重要です。
事前充填モジュールを可能にするクイック・カップリング
災害が発生し、IGBTが寿命に達した際、クイック・カップリングを使用したスマートな設計により、現場での保守作業をより迅速に、また生産ロスを最小限に抑えることができます。冷却液が予め充填されたIGBTモジュールは、ナセル内の限らせたスペースでドレンや充填を行うことなく、簡単に接続することができます。高品質のノン・ドリップ クイック・カップリングを使用すれば、液ダレに煩わされる心配もありません。既存のIGBTモジュールを取り外し、新しいモジュールを接続すればすぐ稼働できます。焼損したモジュールは作業場に持ち帰って水抜き、IGBTの交換、充填を行うことができます。
さらに、他のソリューションの代わりにクイック・コネクトカップリングを使用することは、アッセンブリーや設置作業を迅速化するという意味で有益です。これらの工程は時間がかかることから、コンバーターの製造コストの高さの一因となっています。クイック・コネクトカップリングは、フランジ接続では届きにくく困難な作業である正確なトルクでの締め付けを必要としないため、その分の生産コストを削減することが可能となります。
振動に強い設計
風力タービンのもう一つの大きな課題は、機械的な振動です。この振動は、運転中にネジやナット、ボルトが緩むことで発生することが多く、またこの振動によってフランジが緩み、閉じた冷却回路内に漏れが発生することもあります。オーバーヒートと同じように、保守費用が高額になる可能性があります。これを防ぐことができるのが、信頼性の高い高品質なクイック・コネクトカップリングです。
セインのウルトラフロー クイック・コネクトカップリングは、回路の一部分を取り外す際に役立ちます。従来のボールバルブでは不可能であった、コンバーターシステム内の一部を液ダレを起こすことなく取り外すことが可能です。
セインのウルトラフロー カップリングを使用することで、作業者は、最大200リットルのクーラントをシステムから排出するのとは対照的に、限られた量を排出するだけで済みます。これにより作業時間が短縮され、風力発電機の稼働時間と関連コストの両方に大きな効果をもたらします。
セインのウルトラフロー カップリングを選択する5つの理由
- 漏れのない接続
- かつてない低圧力損失
- 機能及び漏れテスト済みの信頼性
- 厳格な鉄道車両部品の衝撃・振動試験規格 EN 61373:2010 に則りテスト及び承認された確かな堅牢性
- 硬質アルマイト処理を施した軽量タイプと耐食性に優れたステンレス・スチールタイプを利用可能
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